*** 金山の着付け *** お仕度サロン「聖の華」

名古屋金山駅からスグ!【聖の華】着付師の四方山話


帯締めは曲尺(かねじゃく)で寸法表示!?

帯締めの太さって色々あるの?

 

以前、『呉服に関しては、鯨尺で寸法表示』

というお話をしました。

ですが、

帯締めの幅って曲尺表記?だよね?

ちなみに、帯締めって
帯を締めた後に結ぶコレのこと↓

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そして、帯締めにも色々あるのよね。
振袖などに使う礼装用の太めの帯締め
帯留めに通して使う 細めの帯締め
2分紐・3分紐・4分紐などもあります

他にも、普段使い用で上記の中間ぐらいの太さのものも使われています。


そこで、今回話題にしたいのが
こういう3分紐などの幅(太さ)を表示した呼び名です

幅を指しているので、3分(さんぶ)であって、時間の3分(さんぷん)ではないですよ

 

↑こんなふうに販売されています

 

鯨尺ですと「3分」=「1.1cm」

でもこれらの三分紐、幅は9mmなんですよ。

曲尺ですと「3分」=「9mm」

つまり、

鯨尺表記ではなく曲尺

まぁ、どっちでもいいことなんですけどね(^^;;
ほんと小さな疑問ですけどね、、、

でも

どうしてかな??和装小物なのに?
呉服やさんで売っているのに?

 

ということで、

今回はこの小さな疑問を調べて推察してみたよ、というお話です。

 

念の為、こちら↓

曲尺⇔メートルの換算できるサイトさん

江戸 大工仕事で使う長さをメートル換算 - 高精度計算サイト

参考にさせていただきありがとうございます!

そもそも、曲尺ってなんぞや?って話や 鯨尺⇔メートル換算の話は過去記事でどうぞ↓

info.hijirinohana.com

 

帯締めって昔からあるの?

この素朴な疑問を解明するため、まず帯締めのルーツをたどってみましょう

帯締めの誕生〜

それは江戸時代のおはなし

当時人気だった歌舞伎役者が、衣裳の着崩れを防止しようと
帯の上にヒモを使ったそうな。

それを「わぉ素敵♡」と思った女性たちが
こぞって真似をして大流行✨

ちなみに、この時点では

ヒモは組み紐でつくられた丸組じゃなくて

丸ぐけっていう紐こういう感じ↓

細長い袋状の布で綿や毛糸などをくるんだ柔らかい感じのお紐。

でもそれで話は終わりじゃないのよ

 

その後 時代は 明治、
廃刀令がだされたんです

その為、
刀の下緒(さげお)に使われていた組紐が不要になりました。

 

それをなんということでしょう。

かしこくお洒落な女性陣は

帯締めに流用したんだって。

 

んー、下緒って、、
それはね、こういうやつ。私も確認しておいた。これですね



刃の長さが2尺(60cm)の太刀のときは
太刀緒といったりもする紐ですが
つまり、腰から吊るすように刀を持ち歩く為の紐のこと

廃刀令によりこの下緒の用途が変わったのね

刀ではなく、

帯締めとして使われるようになったわけ。

そう、ここで

帯締めとして広まった丸ぐけ紐ですが

組み紐へと主流が変わっていくわけですね。

 

帯締めって元々は、、、

そして お気づきでしょうか。
もう一つ、廃刀令で必要なくなったもの。
それは甲冑

ここでちょっと寄り道、、、もう一つの物語。
中国から日本の宮中に伝わったと言われる組紐に対し
庶民・武士が常用したのが真田紐

「組む」という

構造的に伸びやすい紐=組紐

とは違って


縦糸と横糸を「織る」真田紐

これが丈夫で実用的だったのです

戦国時代の武将たちは
飾りが多く、固くて重い甲冑に

真田紐を使用していたんだって。
こんな感じよね

真田昌幸着用具足 上田市立博物館蔵より

補足:軍需物資として制作・使用され
忍び達の農閑期の作業としてつくられていたり、
薬と同じく、真田紐の行商人も
各屋敷に怪しまれず出入り可能だったほどの必需品。

 

そう、ここまでくれば分かりますね、

この甲冑に使われている紐(=真田紐)が

帯締めに使われたんですね!

 

真田紐ってどんな紐?

前述にあるように

甲冑に使われる丈夫な真田紐

茶道にも必需品なんですって。

 

千利休が 茶道を 庶民に広めるため


宮中型の「塗り箱に組み紐」から

茶道流儀・各作陶家、それぞれが

独特の柄に織るのね、


後に茶道具では

「茶道お約束紐」と呼ばれるようにもなったんだって

茶器や箱書きを偽造してもお約束紐で
贋物を見分けられるようになっていた
とか。

桐箱の結び方にもこだわっていて
武将が茶道具に

毒を塗られないように封印結びが基になっているらしい。


だから秘密を守るため
真田紐づくりを家業にしていることを公にしないことも多かったそうです。

この結び方についての詳細はまた今度。

 

まとめ

なが~いお話になりましたが

つまり始まりは

歌舞伎役者の真似事でおしゃれ帯締めを楽しんでたら

廃刀令がしかれて
使わなくなった軍需品を利用するようになった。

だから帯締め
「着物の小物ではなく、始まりは軍需品
っで、曲尺

 

私なりの解釈にはなりますが、個人的には納得できました(*'ω'*)

みなさんはどう思います??