そもそも「尺」って何?
「尺」
↑この漢字は、御存じのとおり”しゃく”と読みますが
親指と人差し指を広げた形からできた象形文字で
もともとは身体尺だったらしいですね(中国での”尺”の由来)
今時あまり聞きなれない寸法表示ですが
今回はこの「尺」についてのお話です。
さて、この言葉の始まりはというと、
ずーっと昔に遡って、大宝の時代。
人類は 共通の認知における測り方
これに困っていたんですね
そんな中、唐制が導入されて、大尺・小尺を制定したりとか
異説には
高句麗から普及して大尺より長い高麗尺があったりとか。
案の定「所説あり」という感じですが、、、
とにもかくにも
律令制崩壊後には
各地で様々な尺が使われいて
「困ったぞ!全国で一律の「尺」がない!!」
って状況になってしまったわけ。
例えば、
竹尺の代表:享保尺(京都)
鉄尺の代表:又四郎尺(大阪)
この二つのを平均した:折衷尺
いろいろたくさんあるようで、その他、割愛させていただきます・・
「曲尺」登場
「共通した測り方がないと不便じゃん!」
という思いを解消したのが
明治時代の政府、
『折衷尺』を 曲尺(かねじゃく)として公式採用!
と制定したんですね。
この時決めた曲尺の1尺とは
現在に使われているメートルの33分の10の長さ(約303.030mm)
そして、曲尺という名前は
これ↑
指矩(さしがね)ですね。指金ともかきます
工具の一種でL字に曲がっている物差し、
見たことあるかも!ですよね。
この指金を別名『曲尺』(かねじゃく)とも呼んでいるそうで。
でも、建築などとは別用途でも測る必要があったわけです、、
そう呉服。
着物のお仕立てや体の採寸もありますよね
「呉服の寸法取りには、
しなやかな鯨のひげを使ってたわ!」
となり
結局、明治政府は
「曲尺と鯨尺の2つだけを軽量単位として、その他を廃止しましょう」と決めたみたい
(こんな簡単な話ではないはずでしょうが、事の流れとして読んでくださいね(。-人-。) ゴメンネ)
それで明治24年
度量衡法(どりょうこうほう)で
『鯨尺は繊維製品を軽量するときに
用いることができる』と定めています
鯨尺は曲尺の1.25倍! と定義したんだとか。
(補足:でもね、北海道?とか、呉服でも曲尺を使うよってところもあるみたいよ)
へ~、ん?、、あれ?
鯨尺より曲尺のほうが大きい?
鯨のヒゲが長いから??
そこらへんをネタにした小噺が
江戸時代初期にできてるんですよ
奈良の大仏と土佐の鯨、どちらが大きいかのオチに使われてますね
色々な話題を織り交ぜた30分ほどのお話しを一人で語り続けるって、ホント凄いです!
※『尺』に関するくだりは、7分ぐらいからです
っで、
話をもどしまして、、、
結局、長さを測るときは
鯨尺の単位はこう表します↓
1丈=10尺
1寸=0.1尺
1分=0.01尺
鯨尺の1尺は、約378.788mm
曲尺の1尺は、約303.030mm
【竹取の翁の物語】にでてくるかぐや姫は
「怪しがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。
それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり」
とあるので
おじいちゃんが姫を見つけた時は
曲尺なら身長9cmほどの時ですね。可愛い( *´艸`)
「鯨尺」名前の由来
前述でサラッと話にでてきた鯨尺ですが
江戸時代から
反物を測るときに使用される和装用の物差し
それを
鯨のヒゲで作ったから
そう呼ばれてるらしい
ん?鯨ってヒゲがあったのね?
(すいません、私が無知で。説明そこからだと話が進まないですが💦)
こちら↓
ほほー、こうなってるんですね
画像は信州大学自然科学館さんより。ありがとうございます
日本は古来より鯨食文化はあったそうな。
縄文時代の史跡からも捕獲した鯨は食用として利用されたほか、不可食部位の骨なども土器の製造台などとして有効利用。1970年前後から欧米を中心に反捕鯨運動、1987年に商業捕鯨が停止
cm?尺?換算してくれるサイトさん
普段には聞きなれない寸法表示でお困りの方は
江戸 着物の仕立てで使う鯨尺のセンチメートル換算 - 高精度計算サイト
↑こちらのサイトさんで鯨尺からCM に。CMから鯨尺に。
簡単に換算してくださいます。
みなさんの善意による便利な世の中で♡
ほんと助かりますね!!
ありがとうございますm(__)m
今時、着物の身丈が○○尺で、、、などと言われても
分かりませんもんね、、そんな場面も少ないですが(;^ω^)
日本では、63年前(1958年頃)まで使われていたそうです
メートルはフランスから生まれたそうで
イギリスとかはフィートじゃなかったけ?
国際間でメートル単位を使おう!という「メートル条約」が定められ
日本がこの条約に参加したのは1885年だったみたい
㎏、リットルもこの流れですね
実際、どんな時に鯨尺を使ってる?
分かりやすさ代表がこちら
<八寸名古屋帯>
帯幅八寸に織られた地厚な帯地で、帯芯を入れずにかがり仕立てをする帯です。
仕立上がりの状態での長さ・幅は、長さ9尺5寸(約360㎝)、幅は8寸(約30㎝)です。
<九寸名古屋帯>
たれの方は引き返しにして両脇を裏に折り込んで裏地と合わせます。
仕立て上がりのお太鼓の巾が8寸(約30cm)、長さは3,6メートル位になります。
調べると上記のように説明されるわけです
例えば、8寸(約30cm)ということなので、
・曲尺だと、
1寸が3.03cmなので⇒8寸だと24.24cm
だから30cmにならない。。
・鯨尺なら、
1寸が3.78cmなので⇒8寸だと30.24cm
なので、約30cm。 ◎鯨尺ですね!!
説明にもある通り
「織り込むのか」「かがるのか」の仕立ての違いであり、寸法は仕立て前の幅の寸法だから、仕上がり(見た目)は同じ幅になりますよ
たとえばね、卒業シーズンに華やぐ卒業袴をお召になった学生さんたちですが
あの袴にあわせている着物は「二尺袖の着物」ってよく言われます
それは、あの着物の袂(たもと)の長さが75~76cmぐらいだから。
鯨尺ですね!
やっぱり和装に関しては鯨尺でね(*^-^*)
でも卒業袴だからって2尺袖着物だけでなく
振袖に袴を合わせられる方も多いですよ♡
成人式の振袖を卒業式にも使用される方もたくさんいらっしゃいます
自由に楽しく和装を楽しみましょうね♪
ちょっと歴史的な「尺」のお話でした(#^^#)